神社ではなぜ数え年なのですか

人生儀礼と年中行事

 年齢の数え方には、お正月を迎えることにより年齢を一つ加える「数え年」と、自分の誕生日ごとに一歳の年齢を加える「満年齢」があります。
 神社で「数え年」を聞かれるのは、我が国では、お正月が各家庭で「年神様」を迎えて、新たな年の五穀豊穣と家族の幸せを祈る大切な行事ですので、その時に合わせて家族皆が一歳ずつ年をとる「数え年」がふさわしいと考えられてきたからです。当初、日本には「零」の概念がなく、生まれた日から一歳で、新年を迎えると二歳になりました。
 「満年齢」の数え方は、明治以降次第に定着してきたものです。明治五年十一月九日の詔書により、それまで用いられてきた太陰太陽暦(旧暦)が太陽暦(新暦)に改められました。これは開国によって、当時広く世界に普及していた太陽暦(グレゴリオ暦)を使用する必要性が生じたためです。
 また、時刻法も一日を十二支にあてて数える不定時刻でしたが、一日二十四時間の定時制に切り換えられるようになりました。こうしたことを受けて、年齢の数え方も「数え年」から「満年齢」へと変わっていったのです。
 旧暦は数年に一度、約一ヶ月の誤差が生じてくるため、年によっては同じ月が二回重なる閏月があり、例えば年によっては五月が二回重なる場合など、誕生日による「満年齢」の換算には適さないものでした。
 しかし、神社では、こうした日本の伝統的な考え方を継承していくことから、現在でも「数え年」を尊重しているのです。

《「神道いろは 神社とまつりの基礎知識 神社新報社」より》