なぜ初詣(はつもうで)をするの?

人生儀礼と年中行事

 最近では正月三が日の休業という古来の伝統が破られました。若者が町に出るようになって、大人たちもこれに習ったためです。わざわざ年頭の三日間を休みにするのには意味がありました。神や祖先を迎え、おもてなしをするためなのです。そのためには厳重な忌(い)み籠(ごも)りが必要でした。そのお籠(こも)りの日が大晦日(おおみそか)で、この日に一夜飾(いちやかざ)りをしないのにはそうした理由があったわけです。
 三がにち日が過ぎると人々は初詣に出かけました。それは江戸時代に起こった〈恵方(えほう)参り〉に始まったと言われます。その年の最も良い方角にある神社・仏閣にお参りすれば一年間が幸運に満たされると信じたところから出ています。今日では大晦日から元日にかけて参るのを一般としますが、これは江戸以降に始まり定着した形なのでした。