正月って何?

人生儀礼と年中行事

 暮れにはどの家庭でも大掃除をし、神棚(かみだな)のある家では注連縄(しめなわ)を取り換え、玄関に注連飾(しめかざ)りを付けます。新年を迎えるための準備です。こうした仕度(したく)が何のために行われるのかが忘れられつつあります。ついこの間までは誰もが知っていました。正月が三日間もお休みなのは、歳神(としがみ)をお迎えするためでした。年の初めに神様が家々を訪れ、一年の実りと幸せとをもたらしなさる日でした。そこで神迎えのため家の中をきれいにします。注連飾(しめかざ)りは家内が清浄になった証拠です。古くはこの期間に先祖も来訪しました。明治以降太陽暦が採用され、太陰暦の正月がずれました。これに追儺(ついな)<節分>という中国伝来の行事も加わり、一年の始まりと初春の区切りとが重なることになります。ちなみに〈鬼〉は中国では〈魂〉に通じます。正月に先祖のみたまを迎えることと節分の行事とには重なりがあるわけでした。