人生儀礼と年中行事

神無月(かんなづき)には神さまがいなくなるというのは本当ですか

 十月には「神無月」という異称があり、その語源については諸説あります。 例えば、十月は雷の鳴らなくなる月であることから「雷なし月」の意味だとする、江戸時代の国学者荷田春満(かだのあずままろ)の説や、神無月の「無」を「の」と解して「神の月」、つまり神祭りの月の意味だとする説。そして翌月に行われる新嘗祭...
神社・神道とは

氏神(うじがみ)と産土神(うぶすながみ)との違いについて教えてください

 日本全国の神社には、さまざまな神さまが祀(まつ)られていすます。 その中でも「氏神」と呼ばれる神さまは、とりわけ私たちの日常生活に関わりの深い神さまといえるでしょう。 氏神とは、もともと古代社会において血縁的な関係にあった一族がお祀りした神さま(一族の祖先神あるいは守護神)をいいました。しかし、中...
お祭りのこと

「祭り」という語はどういう意味ですか

 そもそも「祭り」という語は、何を意味していたのでしょうか。その語源については、「神さまに仕えマツル」の「マツル」であるとか、同じ祖神を同胞が「マツリアウ」からであるとか、「神さまの訪れをマツ」の「マツ」という語が関わっているなど諸説あります。 いずれにしても、お祭り(祭祀(さいし))とは神さまをお...
神社・神道とは

三種(さんしゅ)の神器(しんき)について教えてください

 瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)は、天孫降臨(てんそんこうりん)(瓊瓊杵尊が葦原中国(あしはらのなかつくに)、すなわち日本列島に降臨すること)に際して、天照大御神(あまてらすおおみかみ)より三種の神器つまり八咫鏡(やたのかがみ)(注1)、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)(注2)、八坂瓊曲玉(やさかにの...
神社の施設と祭具

神鏡(しんきょう)について教えてください

 天照大御神(あまてらすおおみかみ)は、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の天孫降臨(てんそんこうりん)(瓊瓊杵尊が葦原中国(あしはらのなかつくに)、すなわち日本列島に降臨すること)に際して、三種(さんしゅ)の神器(しんき)(八咫鏡(やたのかがみ)・天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)・八坂瓊曲玉(やさかにの...
神社にいる人たち

巫女(みこ)さんの装束について教えてください

 普通巫女さんは、白衣に緋袴(ひばかま)(赤い袴)を着ています。お祭りの時など舞を舞って神さまにご覧いただくときには、略式では左のような千早を着て、花簪(花がついたかんざし)を頭に付けます。手には、五色絹がついた鉾先舞鈴・神楽鈴、また桧扇や舞扇を持ちます。神主さんと同じように、舞の正装もあります。小...
神社にいる人たち

神職(しんしょく)が笏(しゃく)を持っているのはなぜですか

 今では、「笏」を持つことは神職に限られていて、神職には欠かすことのできない持ち物の一つとなっています。しかし、かつては官位ある人であれば、儀礼用の服装をするときに、必ずこの笏を持ったものです。 笏は、欽明天皇の頃(六世紀)に、中国から伝来したといわれており、中国においては、役人が君命の内容を、忘れ...
神社の施設と祭具

四神旗(ししんき)はどういう順番に並べたらいいのですか

 四神とは四方の神、すなわち東の青龍(せいりゅう)、西の白虎(びゃっこ)、南の朱雀(すざく)、北の玄武(げんぶ)をいい、高松塚の古墳の壁画にも見られます。 昔、朝廷で元旦朝賀(ちょうが)・即位礼などの折りに威儀をととのえるため、大極殿(だいごくでん)または紫宸殿(ししんでん)の庭に、四神を描いた四つ...
神社の施設と祭具

五色絹(ごしきぎぬ)の五色の色は何を表しているのですか

 五色絹の「五色」は、古代中国に成立した「五行説(ごぎょうせつ)」という学説に由来します。 五行説とは木・火・土・金・水の五つの要素により万物が組成され、自然現象や人事現象の全てを解釈し説明するものです。その説にのっとって木・火・土・金・水を色で表現すると、木の色は青、火の色は赤、土の色は黄、金の色...
神社の施設と祭具

家に家紋(かもん)があるように神社にも特定の紋があるのですか

 神社の紋章を「神紋(しんもん)」といいます。そもそも紋章は、平安時代に公家社会において、衣服や日常用いる道具、牛車などに好みの模様を用いたことに始まるといわれています。それがのちに家紋や神紋となりました。 神紋が、いつ頃から発生したかは明らかではありませんが、家紋の発生とほぼ同時期と考えられていま...
お祭りのこと

神輿(みこし)は神霊の乗り物といわれますが、山車(だし)はどうなのですか

 「山車」というのは、祭礼のときに人々が引いて歩く、いろいろな飾り物を付けた車のことです。車上には、鉾(ほこ)(もろ刃の剣に柄をつけたもの)や人形の他に、松や杉などの木が飾られますが、これらは神さまの依代(よりしろ)として用いられているのです。ですから、山車は神輿と同じように、神霊の乗り物であるとい...
お祭りのこと

かついだ神輿(みこし)を揺り動かすのはなぜですか

 神社で神輿を用いるのは、祭礼にあたっての神幸祭(しんこうさい)のときです。 神幸とは、御神体が本社から御旅所(おたびしょ)(神幸の中継地および目的地となる所、本社や御祭神に由緒のある場所が選ばれる)に渡御(とぎょ)することをいいます。このとき、氏子たちが神輿をかついで各地区を練り歩きますが、そうす...
お祭りのこと

神輿(みこし)について教えてください

 「神輿」を音読みして「シンヨ」ともいいます。神輿は、祭礼にあたり神幸祭(しんこうさい)(多くの場合、年一回の例祭(れいさい)後あるいは祭礼中に行われる)に際して、御神体あるいは御霊代(みたましろ)がお乗りになる輿(こし)のことをいいます。普通は木製の黒漆塗りで、形状は四角や六角、八角などがあり、台...
お祭りのこと

黒白の幕をお祭りに使うこともあるのですか

 平安時代から、幕は遮蔽(しゃへい)用に使用されていたようで、かつては縦縫のものを「幔(まん)」、横縫のものを「幕」と称して区別していました。しかし、実際には幕と幔とは混同されていたようです。 現在でも、野外における行事や式典の際には、その場に幕が張られているのを見かけます。この幕の色については、紅...
神社の施設と祭具

胴の三方に穴があるのが三方(さんぼう)、四方に穴があったら

 「三方」は神饌(しんんせん)を載せるための台で、折敷(おしき)と穴があいた台(胴)とで成り立っています。三方という名称については、穴が三方向に開いていることからつけられたとする説があり、これは通説にもなっています。ちなみに、台(胴)にあいた穴は「刳形(くりがた)」あるいは「眼象(げんしょう)」と呼...
出張祭典

地鎮祭(じちんさい)の時など、なぜ四方に竹を立てるのですか

 主として地鎮祭など、外で行われるお祭りのときに、四隅に立てられる青竹のことを「忌竹(いみだけ)」といい、「斎竹」とも書きます。 外でお祭りを行うときには、その場所に神籬(ひもろぎ)(一般に榊(さかき)に紙垂(しで)を付けたもの)を立て、そこへお祭りにゆかりのある神さまに降臨していただきます。神さま...
神社の施設と祭具

榊(さかき)の語源について説明してください

 「榊」は暖地の山林に自生するツバキ科の常緑樹です。神社でのお祭りはもちろんのこと、神棚にも榊は欠かせません。 字を見てもわかるとおり、榊は「神」と「木」を合わせた字ですから、神さまに関わりがある木ということになります。 榊の語源については諸説あり、神さまの聖域と人間世界との「堺」を示すための木、つ...
神社の施設

紙垂(しで)の作り方について教えてください

 かつては麻(あさ)で穢(けがれ)を祓い清めていたようですが、のちに楮(こうぞ)(クワ科の落葉低木。 樹皮の繊維は日本紙の原料となる)から作った木綿(ゆう)(楮から採(と)った糸)や和紙(楮から作った紙)を用いるようになって、後世になると、この紙を榊(さかき)の枝に付けて清浄の証としたようです。 こ...
神社の施設

注連縄(しめなわ)にはどういう意味があるのですか

 「注連縄」は神社や神棚などに見られるように、神聖な区域に懸(か)け渡し、内と外を隔てて、不浄にふれさせないために用いられるものです。 つまり、ここが特別な場所であることを、人々に明示するためであります。ですから、紙垂(しで)を垂らすというのも、注連縄を目立たせて、縄の所在をはっきりさせる目印なので...
人生儀礼と年中行事

ご先祖さまのお祀りはどうするのですか

 仏教では位牌を仏壇に納めて供養しますが、神道では白木造りの霊璽(れいじ)を御霊舎(みたまや)に納めてお祀りします。日々のお祀りは神棚と同じようにお供えをしてお参りしますが、順番は神棚のあとになります。 ちなみに仏教では現世の名前とは別の戒名を付け、功徳を積んだ僧侶により迷わず極楽浄土に行けるよう供...